自動車保険の車両保険を付けるべきか悩む人も多いでしょう。
元、損保社員の私フルグラが、仕事の経験から車両保険の必要性、メリットデメリットについて解説します。
私が車両保険をおすすめするのは、新車・高級車・車のローンがある人・初心者だけです。
節約の観点でいうと、修理代は貯蓄でまかないましょうという結論です。
また、車は新車でなく中古車に。新車で傷つくのを恐れ車両保険をガチガチにつける必要もなくなります。
この記事を読むと、車の所有でお金が貯まらない人が、お金のサイクルを見直すことで、自然と貯まる家計に変わることができます。
まず、車両保険について詳しく解説します。
車両保険とは
車両保険とは、任意の自動車保険の補償の一つで、自分の車に対する補償です。
事故などで損害を受けた場合の修理費を補償する保険です。
相手自動車との事故だけでなく、盗難や火災、洪水、石飛のガラス破損の被害にも補償されます。
車両保険は「一般型」と「エコノミー型」とあります。
「エコノミー型」は、単独事故、電柱や外壁に衝突での傷、当て逃げで相手が分からない場合は補償されない代わりに保険料が割安です。
また、車両保険には「免責金額」を設定し、例えば、損害のうち5万円は自己負担しますという契約だと、車両保険料を少し安く抑えることができます。
車両保険の加入率は
約5割です。
事故相手からの賠償について
事故を受けた場合、相手から賠償されると思う人もいるかもしれません。が、自分の過失割合分相殺されます。
例えば、自車が100万円の損害の事故で、過失割合「相手が60:自分40」の場合、相手方の対物賠償保険で賠償されるのは、60万円だけです。
あとは、車両保険があれば、足りない40万円をカバーできます。車両保険がない場合は自己負担です。
車両保険は不要
車両保険が不要と思う理由を4つ、具体的金額で解説します。
理由①保険料が高くなる
そもそも高額である車の補償をするものなので、車両保険料も高いです。
大よその年間中央値
◆プリウス…車両保険あり 165,700円
車両保険なし89,524円
(一括見積もりサイトインズウェブ引用)
また、年齢別だと年間平均例
◆18~20歳 車両保険あり 339,442円
車両保険なし 160,054円
◆30代 車両保険あり 56,153円
車両保険なし 30,842円
大ざっぱですが、私は、「車両保険を付けると保険料が倍になる」という感覚でとらえています。
注意すべきことは、この保険料は、ネット型保険の場合なので、代理店型自動車保険はもっと保険料が高くなり、もっと車両保険のあるなしで差がつくということです。
また、せっかく保険料を払っていても後述理由③のように、等級が下がり保険料が高くなるのを恐れて、保険を使わずじまいになることもあります。
理由②全損でも同じ車は買えない
車両保険をつけていて、事故があっても、その保険金でまた同じ新車を買おう…とはできません。
毎年、設定できる車両保険の金額が、約10~20%ずつ下がっていきます。
ひどい場合だと、年式(製造)から5年以上過ぎた車に車両保険をつけていても、いざ全損で保険金が支払われる時に、「設定していた車両保険金額の価値がない」と判断され、大幅減額される場合があります。
損保会社の車の査定額は中古車店での販売額より大幅に低いです。
古い車は新車価格の1~2割の査定額しかありません。
自分が働いていた時の感覚で言うと、年式5年を過ぎると車両価値が数10万円単位に下がります。
新しくなければ全損で20~50万円という査定額がほとんどです。
やはり保険でなく、貯金で準備していた方が間違いないわ
新車価格で車両保険を付けようと思うと、高い新車特約保険料が必要です。
その保険料も保険を使わなければ、毎年掛け捨てです。
理由③少額修理は保険を使わない場合が多い
また、車両保険を付けていても、いざ使うと等級がダウンする(割引率が下がる=保険料が上がる)というデメリットがあります。
事故で保険を使うと、保険会社では、等級(割引率)が3つ下がるというルールがあります。自然災害やいたずら、盗難などは1つダウンです。
もとの割引等級に戻るまで3年かかります。
例)14等級、年額70,000円だった人が
保険を使うと、その後、3年間保険料
⇒合計411,250円
使わないと、割引等級も進み、3年間保険料
⇒合計271,250円
保険を使うと、保険料に14万円の差がでます。
その後もその等級の差、保険料の差は続きます。
少額のバンパーのへこみなら、
保険を使わず、自腹でするかも。
でも、保険付けている意味ある
のかな…
私が損保にいた時も、事故をしたお客様が、損害修理額と等級ダウン後の保険料を見比べ、「保険料が高くなるなら車両保険使わない。自腹で払う。」とがっかりしながら保険手続きを中断されるいうパータンが何度もありました。
理由④貯金で対応できる
上の3つの理由から、修理費用は、車両保険でなく、貯蓄でまかなうのが一番良い方法だと思います。
万が一事故を起こした時、払いきれない多額の賠償金が必要になる、対人・対物は無制限で。搭乗者保険や人身保険もきちんと付けることをお勧めします。
しかし、一生のダメージとはならない金額である車両代は、貯蓄から払いましょう。
事故がなければ、貯蓄は使うことなくその額がちゃんと手元に残りますが、保険料は1年で消えてなくなります。
車両保険が必要な人
しかし、次の場合は、車両保険を付けておいた方が良いでしょう。
新車や高級車を購入した人
新車で事故をして、自分に過失が100%ある全損になる事故の場合、やはりダメージは大きいです。
最初の数年間は、車両保険料を付けていた方が安心です。
また、高級車に乗る人は、盗難や火災などの事件にあうリスクも高く、修理代も高額になるため車両保険付与で安心できます。
車のローンがある人
車のローンを組んでいる人はローン完済まで車両保険に加入する必要があります。
ローンのある車が全損になった場合、ローンの支払い義務だけ残ります。車両保険を付けていれば、保険金をローンの返済に充てられて助かります。
運転に自信がない初心者など
免許を取り立てだと、運転もまだ未熟で事故を起こす可能性は高いです。
保険を付けていれば運転時の安心材料になるでしょう。
しかし、保険料が高額なためあまりお勧めしませんが…
掛け捨て保険で、年間20、30万円
払うのは、若者には厳しい。
車の購入費もあるだろうし…
若者初心者の事故率は高いので、どうしても保険料は高くなります。
中古車のすすめ
高い新車を買うと、それにともなって、些細な傷や損傷でもきれいに修復したいとガチガチに車両保険や特約をつけたくなります。=高い保険料を払うことになります。
また新車をローンで買った場合は、ローンの利息、契約手数料等、もろもろかかってきます。
もし、中古車を現金で買えば、高い車両保険へ加入する必要性を感じません。
その車両保険料分を貯蓄に回せば、修理や、買い替えの際も現金で支払うのが楽になります。
貯めてから中古車を買う。(自動車保険はネット型保険の車両保険なしで加入)
⇓
中古車を使用中に次の購入分や修理代を貯める
⇓
古くなったら貯蓄でまた中古車に買い替える。
お金のサイクルを作れば、無駄なローン利息や手数料、車両保険が不要になります。そういう思考に変えるとお金が貯まる習慣が身についてきます。
生命保険や医療保険と同じね。
「もしも」に高い保険料を払い、
貯蓄ができないパターン
車が本当に必要かまず考え、タクシーやカーシェアリングで対応できないか。
もし車購入が必要なら、その車は必要経費か浪費になるものではないか。中古車、小さい車でこと足りるものでないか、もう一度見直しましょう。
まとめ
車両保険は、保険料も高く、いざ使いたくても割引等級が下がることを考えると、保険を使わずに自己負担で修理代を払うこともあります。
また、今と同じ車種の新しい車が買える額の保険金は支払われません。
新車、高級車、初心者、ローンを組んで購入した人は車両保険があると安心でしょう。
しかし、「修理代は保険金で」という考え方を改め、修理代は貯蓄でまかないましょう。
中古車を使う方がお金に振り回されません。お金をコントロールする立場になりましょう。
貯めてから中古車を買う⇒中古車を使用中に次の購入分や修理代を貯める⇒古くなったら貯蓄でまた中古車に買い替える。
生命保険や色々な保証についても、同じ思考で無駄な保険代を貯蓄にまわしましょう。
そんなお金の思考サイクルにすると、お金が自然に貯まってくるはずです。
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